イギリスの伝統的なコレクションであるウィリアム・モリスのコレクションは、MORRIS&Co のブランドで日本でも長く愛され続けいています。
そして昨年の2011年に創設150周年を迎えました。
この重要な記念の年を祝うべく、発売されたのが『Morris Archive Collection(モリス・アーカイブ・コレクション)』です。
本日は、そのアーカイブコレクションを使ってカーテンと壁紙をコーディネートした事例を施工の手順を見ながらご紹介します。
今回ご依頼を頂いたのは寝室の改装です。壁紙を張替えてカーテンを掛け替えます。
上の写真は、施工前の様子。一般的な白のビニールクロスに遮光のカーテンが掛っていました。
まず初めに行うのは床面の養生です。クロス工事は剥がす時の埃や、パテの粉が舞うのでフローリングのサネの部分に入り込まないようにしなければなりません。
続いて既存のクロスを丁寧に剥がします。この時になるべく下地を傷めないように注意します。
そして、コンセントプレートや器具類の外せるものは全て取り外します。エアコンなどの脱着には、専門の業者が必要なので、今回はカバーのみ外しました。器具が付いたままの施工は大変ですが、仕上りの見栄えには支障ありません。
パテで下地を平坦にならします。この時に既存のパテの後は剥がした時に残る裏紙が後から浮いてくるので、この部分を重点的にリーフォーム用の専用のパテを使いながら調整します。
パテが完全に乾いたら、サンドペーパーを掛けて下地の段階は完成です。
柄の出方を考えながら割り付けをして貼っていきます。輸入の壁紙の多くは紙質系ですので、乾いて硬化してしまわないように気を付けますが、ある程度湿気を含んで壁紙が膨張しするまでオープンタイムを取ることも重要です。
ジョイント部分はゴムのローラーを当てしっかりと圧着します。
この継ぎ目を如何にして目立たなく仕上げるかが職人の腕の見せ所です。
入り隅が後から捻じれたり浮いてきたりしないように、しっかりとへらを当て形を整えていきます。
この時に柄の連続性を考え、どこかで合わなくなる柄をどこで止めるのか考えます。
仕上がってしまうとお客様はあまり気にならないかもしれませんが、この辺が美しく見せる為の職人としての拘りなのです。
壁紙に糊を付けるのには、このような自動の機械を使います。
左側に電子式のカウンターが付いていて、必要なメーター数だけをロールから引き出してくれます。
もちろん手を使ってローラーで付けることもできますが、プロの職人はこんな風に。
これでしたら均等に糊が付き、その量も材料に合わせて調整が可能です。
それでは、仕上りをご覧いただきましょう。
カーテンでお使い頂いたのは、『マリー・イザベル』Mary Isobel (circa 1890s) です。
深紅のシルクの地に ジョン・ヘンリー・ダールのデザインで、渦を巻くアカンサスの葉と花が描かれています。
裾部には可愛らしいボールフリンジをアクセントとして取付けています。
全体的な壁紙は、『マリーゴールド』Marigold (1875) を使いました。
モリスがファブリックと壁紙の両方で制作した数少ないデザインのひとつです。
主役の深紅のカーテンとのコントラストを意識しました。
出窓のカウンターの背面部分をアクセントにして 『ピンパネル』Pimpernel (1876) を貼りました。
鏡面対照に描かれた、荒涼としたイメージの風に吹かれた花のパターンは、モリスの素晴らしいデザインの典型的な例の一つです。
こちらも主役のカーテンの色との統一性を意識して配しました。
右側の窓は、側面が見えてしまっていたので、レールをカーブレールに取り変えてリターンのような仕様にして横からの見栄えをよくしました。 右側にマグネットを付けて奥に開閉するようになっています。
カーテンのポイントは、裾部のフリンジと装飾タッセル。裏地もゴールドを使っています。
ご年配の奥様の寝室が華やかで明るく変わりました。
現在、追加でご依頼をいただいた上飾り(バランス)と照明器具をプラン中です。
完成しましたら、HPの施工事例で改めてご紹介させて頂きます。