カーテンの素材について

【素材について】

カーテン生地に使用される素材(繊維)は、洗濯などで伸び縮みをするか、長時間の使用に耐えられるかといった基本的な性能に加え、装飾性の高さ、遮光性、防音・遮蔽性、保温、断熱性などさまざまな要素を考慮して選ばれます。

現在は、化学繊維の「ポリエステル」「アクリル」「レーヨン」が主流です。しかし最近では天然繊維も見直され人気が出ています。

以下では、生地の繊維を構成する素地の特徴にといて比較してみました。

【化学繊維】

ポリエステル

長所 : カーテン繊維の主流。丈夫で扱いやすく、光沢感があり、手触りもよく、形態安定性、ドレープ性にも優れ いる。機能的には最も優れていると言える。

短所 : 帯電しやすいので汚れやすい。

アクリル

長所 : 非常に軽量で保温性が抜群である。かさ高性に優れ、発色が良い。帯電性が小さく吸水性も少ないために汚れがつきにくいという特色がある。

短所 : 熱に弱くて燃えやすい。後処理で防炎加工が出来ない。

レーヨン
長所 : 染色性、吸湿性に優れ、ドレープ性にも優れている。なじみやすいことから、混紡・交織として使用されることが多い。

短所 : 耐久性が低い。水に弱く縮みやすい。

【天然繊維】

綿

長所 : 丈夫で染色性に優れる。肌触りが良く、吸湿性、適度な保温性がある。

短所 : 縮みやすく、シワになりやすい。太陽光に黄変し、紫外線に対し劣化しやすい。

長所 : 耐水性、耐熱性、吸水性、透湿性、通気性に優れる。

短所 : しわになりやすく、ドレープ性にかける。汚れは落ちやすいが、汗じみになりやすい。

長所 : 独特の優れた光沢感があり、ドレープも美しく発色性に優れる。帯電が起きにくい。

短所 : 高価で、寸法安定性と堅牢度が劣る。

重要なのは静電気の問題です。
自然素材は叩いたり、掃除機をかけたりすれば、ほとんどのホコリはきれいに除去されます。
ですから、洗濯が面倒な人は自然素材を選んだほうがいいですし、反対に洗濯しなければ気がすまない人は化学繊維をお薦めします。

ちなみに、レーヨン(ビスコース)は、原料も製造工程も自然素材と化学繊維の中間的なので、特性も中間的になります。

現在では、単独のレーヨン100%で使われている生地はほとんどなく、綿やポリエステルに混色されているので、その混色される繊維によってその生地の特性が決まります。

店頭で何の説明もなく、ウォッシャブルのカーテンとそうでないものが掛かっていたら、ほとんどの方がウォッシャブルのカーテンを選ぶと思いますが、そうでない自然素材にも良いところがたくさんあります。

カーテンを選ぶときには、是非 素材にも注目してみて下さい。

天然素材は、季節の湿度や気温の変化によって織物自体の伸縮はありますが、それもまた魅力の一つだと思います。

内装材の珪藻土や和紙などの紙質の素材、無垢の床材と同じく呼吸する素材として室内の湿度も調節してくれるのです。

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ヨーロッパでは、ドイツを中心に「パッシブハウス」が普及しています。

「パッシブハウス」とは、厚い壁で断熱し、最新の換気システムによって空気を循環させることで熱回収率を上げ、南面の開口を大きく取り、より多くの太陽を取り入れ、3重ガラスサッシで機密性を高めることで、電気、オイル、ガスなどのエネルギーの消費を抑えた最先端の省エネ住宅のことです。

こうした「パッシブハウス」で大きな役割を担うのが天然素材のカーテンなのです。

天然素材は、まるで生き物のように空気や熱、湿気を吸着し、蓄積し、吐き出し、室内の温・湿を調整してくれるからです。

また、天然素材の触り心地は何より、人に安らぎを与えてくれます。

さらに、その色合や風合いは、インテリアと人とを無理なく結びつけてくれる優しい空間を演出してくれます。