水戸芸術館で開催されている、坂茂展。

坂さんが手がけた美術館など、
大きな建築のことはよくわからず、「すごいなー、かっこいいなー」
という感想くらいしか出せないのですが、
女川のコンテナ仮設住宅については感じる部分がありました。

急ごしらえで作り、決められた期間で取り壊されてしまうのが仮設住宅。
工期短縮・コストダウンは命題です。
そんな命題を抱えつつも、
少しでも住み心地のいい住まいにしたい、
住む人にとって「仮」の住まいではあるけれど、ホッとできる空間にしたい。
設計者の坂さんは、そんな気持ちでこのコンテナ住宅を設計したのではないかなと、
見て回るうちにそんな風に思えてきました。
今日は、そんな風に思うに至ったポイントを3つご紹介します。
ポイント1は、室内の色使いについて。
ホワイトをベースカラーとし、木の持っているナチュラル色をメインカラーに。
そして、収納や脱衣場を仕切るカーテンのダークブラウンがアクセントカラーになっていて、
何気ない組み合わせですが、きちんとコーディネートされています。
色に関して言うと、ココも見逃せません。

ソフト巾木です。
ないがしろにされがちなこの部材の色まで、
タイルカーペットときちんと色合わせされています。
何気ない色使いですが、目に優しい穏やかな色合いで違和感なくコーディネートされている。
それがこの部屋の居心地の良さを作っているように思えます。
ポイント2は、収納です。
リビング・ダイニングには壁付のオープン収納。


ダイニングには押入れのような収納も。

個室にもたっぷりの収納が。

家具を買い増さなくても、かなりの物が収められるのではないでしょうか。
カーテンで目隠しができるのもうれしいです。
扉を付けるよりも圧迫感がないですし、室内が広く感じられます。
カーテンは、工期短縮・コストダウンにも一役かっていそうです。
同じ間取りに暮らしていても家族構成はそれぞれ違いますし、暮らし方も違うでしょう。
大容量で、幾通りもの使い方ができそうな収納です。
さて、3つめのポイントは、外にあります。
日当たり・雨がかりが考慮された、長めの軒。


外の天候は室内の居心地も大きく左右しますよね。
それを調整するのが軒の役割だと思います。
それから、軒先では隣近所に住む人、通りがかりの知り合い同士がちょっとおしゃべり。
室内と室外の中間の、コミュニケーションスペースとしての役割もあると思うのです。
コストのために長さが削られてしまいそうな軒ですが、大事な大事な存在です。
さて…3回にわたって紹介した、「坂茂展」でした。
(おもに女川のコンテナ住宅ばかりでしたが)

水戸は、のびのびしていて、アート展やカフェ文化なども充実した街です。
週末・ゴールデンウイークなど、どうぞ遊びに行ってみてくださいね!
(私の今週末は、納品とお打ち合わせなど…てんこ盛りです……働きます!!)