リネンのカーテンのお洗濯 ホントのところどれくらい縮むの??

リネンのプリント生地をリボンスタイルでお納めした、I様。

洗濯表示では水洗いNGのリネンの生地ですが、縮むことを前提で長めの仕立てとしておりました。

写真 2015-04-09 22 06 24

 

施工時のブログはこちら↓

松戸市 フレンチシャビーのお部屋① お勧め生地の神通力

松戸市 フレンチシャビーのお部屋② ローズにはローズ

松戸市 フレンチシャビーのお部屋③ 麻のプリント生地をリボンスタイルで

先日、アップしたブログのご報告をI様にメールでご連絡したところI様からのお返事。

「洗濯機ドライコースで洗ってみたけれど思ったよりも縮まないんです」とのこと。

縮んで窓のサイズに合っていき、質感が柔らかくなることを期待されていたI様。そのために長めに仕立てたのに…がっかりさせてしまいました。

申し訳ありません!

③番のブログで書いている通り、リネンは水洗いをすると縦は最大-10%横は5%くらい縮みます。通常は。

今回のカーテン生地の洗濯表示は、水洗い不可。ということはガツンと縮むよね?と判断していたのですが、それがあまり縮まない。となると?

生地が生まれたイギリスのサイトで確認すると、こちらでは水洗い可の表示が。

ややや、ややこしい!どういうこと??

 

輸入会社さんより洗濯試験の結果を送ってもらいました。

日本で行われた試験の結果は、水洗いで縦が-2.5%。生地の生産時に防縮加工、もしくは水通しされていたのかもしれません。

日本でのカーテンの水洗い可能な基準は、社団法人日本ファブリックス協会が定めた「寸法変化率が縦は±1%、横は±2%」

だから日本の基準では水洗い不可です。ですが、イギリスの基準ではOKなのですね。

とはいえ、繰り返しのお洗濯で試験通りの2.5%以上縮まないともいえないのが、天然素材。

まとめますと、

「水洗いしたらまったく縮まないわけではないけれど、ガツンと縮むこともないかも」といったところでしょうか。

まずはカーテンを見せてくださいと、再びお邪魔したI様のお宅にて。I様は笑顔で迎えてくださいました。

上に書いたような説明を、I様は真剣な面持ちで聞いてくださって、その結果。

季節ごとにドライコースでお洗濯をし、冬場の乾燥した時期を過ごして、生地が落ち着いた来春頃に適切な丈に縫製し直しましょう、ということになりました。

スミマセン!ご連絡、首を長くしてお待ちしております。

(その頃にはお部屋もさらに進化されていることでしょう!)

 

さて、リネンのカーテンのお洗濯、ホントのところどれくらい縮むのか?ということは、

生地によってまちまち。縫製して、何度か洗ってみないとわからない。

という、結論なんだかなんなんだか。

 

松戸市 フレンチシャビーのお部屋③ 麻のプリント生地をリボンスタイルで

フレンチシャビーのスタイルでリノベーションしたお部屋にお住いのI様。

じっくり決めたリネンのプリント生地と刺繍のレースを合わせて、それはそれは素敵なカーテンが仕上がりました。

写真 2015-04-09 22 06 15 写真 2015-04-09 22 06 24

 

カーテンレールは、リノベーション前からついていたもの。

レース用のレールがないシングルタイプだったので、白いシンプルなレールを追加しました。

 

このカーテン、丈は長めです。床ジャスト+25cmあります。

床に引きずるスタイルとはいえ、かなり長め。

写真 2015-04-09 22 04 36

I様、カーテンはどんどんお洗濯されるとのこと。

リネンは水で洗うと縮む生地ですので通常はドライクリーニングをお勧めしますが、縮むことを除けば水に強くて丈夫な生地でもあります。

洗濯を繰り返すと縦方向はおおむね10%縮んだくらいで止まりますので、縮んで止まったところでこのカーテンは程よい長さになるという計算です。

横方向の縮みは5%ほど。計算すると、カーテンレールの幅と生地幅でちょうどぴったり!

まるでこの生地、このお部屋に来るために作られたような気さえします。

I様、カーテン、どんどん洗って育ててくださいね!

 

さて、トップの部分はリボンスタイルに。

これは、カーテンをつるす部分でプラスチックなどのフックを使わずに、リボンを直接カーテンレールのリングに結ぶスタイルです。

このリボンの太さや長さも、I様と一緒にああでもないこうでもないと楽しく決めさせていただきました。その甲斐あって、ナイスバランスです!

 

カーテンをまとめるのはアイアンのホルダー。

写真 2015-04-09 22 07 59

 

I様が前のお住まいで使っていたもの。一緒にお引っ越ししていらしたとのことでした。

ホルダーは1組だけお持ちだったので、同じものがないかどうかインターネットで探すI様。

同じものはすでに廃盤品。似ているものは見つかったけれど、大きすぎてあきらめるなどの紆余曲折がありました。

ですが、同じシリーズのりすのデザインで在庫を見つけることができたのこと。

I様、持ってますね!

写真 2015-04-09 22 08 09

 

 

さてさて、昼間の写真も撮らせて頂きたく、後日改めてお邪魔致しました。

優しく光が透ける様子が、きれい…!

DSCN5242

DSCN5246

緑が見える窓。気持ちが豊かになります。

 

納品の日には茶色だったテレビ台が、綺麗に塗装されてホワイトになっていました。

DSCN5249

 

おうちで過ごす時間に、コツコツと作業されているそう。

プロ顔負けの、I様のセンスとDIYの腕前。

この日は素敵な洗面所やクローゼットなどもゆっくり見せていただき、トキメキとため息の連続でした。

 

I様、この度はありがとうございました。

素敵なお部屋にお邪魔して、インテリアのお話をするのがとても楽しい時間でした!

行きそびれてしまったアンティークショップ、今度はご一緒させてください♪

またお目に掛かれますのを楽しみにしております。

 

オーダーカーテンの裏舞台-特殊加工編、人編

滝本がほとんどのカーテンの縫製をお願いしている、愛知県のS社。 

勉強会と工場見学の様子をお伝えするブログも本日が最終回です。 

オーダーカーテンの裏舞台。受注管理、生地断ち編耳編、裾編、そして吊り元編を経まして、特殊加工編、人編をお送りします。

特殊加工編

☆超音波カッター
超音波の細くて早い振動から摩擦が生まれて、高温で生地をカットしたり繋いだりする技術。です。
ポリエステルを含む生地に向いています。色違いの生地を、あっっと言う間に接合。

あっ!

(null)

(null)

(null)

(null)
と言う間でした。 

 ☆レーザーカッター
複雑なカタチの切り抜きができます。

(null)

裏にごく薄い生地を貼ってます。

(null)
こんな光が落ちる、素敵なロールスクリーンが作れます!

(null)
 

☆デジタルプリンター 

どんな図柄でも布地にプリントできてしまうデジタルプリンター。
実はまたお試しの段階…だそうです。

☆スワロフスキー☆ 

超音波を発生するペンのような機械で…

(null)
ボタンをポチっと。

(null)
たったこれだけ。

(null)

キラキラのスワロフスキーがしっかり生地につきます!

(null)
 

オーダーカーテンの裏舞台、

最後に、人編。 

工場見学の最初に、I社長が話したこと。
「工場は、どこを写真に撮ってもかまいません。撮らないでというところは一つもありません。ただし、うちの取り引き先がわかるような生地やブランドのロゴだけは撮影しないでくださいね」
とのこと。 

取り引き先を明らかにしないのは当たり前として、どこでも撮影OKの工場見学、実は初めてです。 

☆真似できないのは何か 

見学を進めるうちに、I社長がなぜ写真を撮ってOKと言ったのかが分かってきました。
ミシンや特殊加工の機械。沢山の道具。それらを使って製品を作るのは、職人さんの手です。特に機械に頼らない工程が多いS社の仕事は、機械だけを真似ても同じ物を作ることはできません。 

2月末の繁忙期にお邪魔したにも関わらず、職人のみなさんはとても感じよく対応してくださいます。ですが決して手は休ませません。

社長のお母様が、「息子に殺されますわ〜(笑)」などと軽口をたたきながらカーテンの裾を縫うかと思えば、丈を測る年配の職人さんを指して、「あの職人は48年うちにいるんですよ〜、俺、2歳からですよ〜」などとI社長。 

研究熱心な職人さんのアイディアを元に、機械のメーカーさんが製品改良して新しい商品が生まれた、という話や、アルバイトから入ってそのまま社員になり、今では欠かせない立場の若い職人さん、など…。 

エピソードが、本当に沢山出てくる出てくる! 

この職人さんたちが日々真剣に仕事に取り組んでいるお陰で、私たちがお客様にカーテンを届けることができるんですよね。 

ああ、やっぱり、S社に仕事をお願いして良かった。いえ、お願いできて良かった、と心から感じたのでした。 

と、いい話でまとまったところで(笑)、
まだまだ紹介したいことは沢山ありますが、オーダーカーテンの裏舞台、最終回といたします。 

このやたら長〜いハナシを読んでくださった方、我慢強さに感謝いたします! 

そしてI社長はじめ、S社のみなさん、勉強会を企画してくださったC社のYさん、ありがとうございました。 

また次も、よろしくお願いしますね!!

(豪華お弁当、美味しかったです♪)

オーダーカーテンの裏舞台-吊り元編

愛知県のS社へ、勉強会と工場見学に行って参りました。
S社は、滝本がほとんどのカーテンの縫製をお願いしている会社です。

受注管理、生地断ち編、そして耳編、裾編に引き続き、オーダーカーテンの裏舞台-吊り元編をお送します。

吊り元、というのはカーテンの一番上の部分です。
写真は、ワンプリーツといって、ひとつのヒダで山をひとつ摘んだタイプのもの。

(null)

他にも、3つ山、2つ山、ハコヒダ、ゴブレット、フラット、ハトメ…などたくさんのスタイルがあります。
どのスタイルにも共通しているのは、最初に「芯地」巻いて縫い込むということ。

これが芯地です。

(null)

☆芯地の使い分け
カーテンの生地の厚さや性質に合わせて、S社では7種類の芯地を使い分けています。カーテンの生地が代わるごとにミシンに芯地をセットしなおします。(レジのレシート交換みたいな感じです)

口を開けば喋りっぱなし、聞いてるこちらは笑いっぱなしのI社長いわく、写真の右側の物はS社が特許を持つオリジナル芯地だそう。

(null)(こんなふうに山を作りやすい芯地なんですよー!と何度も折ってみせるI社長)
見えなくなるパーツにも技術と秘密が。美しいカーテンのため独自の研究を重ねるS社です。

芯地の縫製を終えたカーテンは、最後に山の縫製へ。

☆手作業で縫製される「山」
S社のカーテン、山がすごい!
1枚1枚寸法を計算して、手作業で山を作り、縫い止めます。
…それって当たり前なんじゃないの?って、思うかもしれませんね。実は…当たり前ではないのです。
山の縫製の当たり前は、今や機械縫製。タッチパネルで寸法などを入力すると、自動のアームが山を折ってミシンまでかけてくれます。早くて、正確。
どんな機械も作ってしまう日本の技術。すごいですが、機械には機械の限界が。
ミシンがけのように端から生地を引っ張って送るので、作られた山はほんの少し片側に偏ったり寝たりしてしまうことがあるのです。

手作業でひとつずつつまんだ山は、全て正面を向いています。畳んだ時も、均等できれい。職人さんの技術の賜物です。

(null)

もうひとつ、S社の山のこだわりを。
山の縫製は、コカ・コーラ社のボトルを逆さにしたプロポーションを意識しているそう。

(null)
こんな感じですか?I社長!?

さて、山を縫ったカーテン。フックを差し込んで完成です。

☆S社の特許、ポラリスフック
ポラリスって、北極星のことですね

(null)
こちら側を山の裏側に差し込みます

(null)

すべての星が北極星を中心に回るように、カーテンの生地がフックを中心にウンヌンカンヌン……とI社長。
へえ〜、I社長って話が面白いだけじゃなくて意外にロマンチストなのかしら〜?なんて思って聞いていましたら、…どうやら肝心な部分を聞き逃したようです。(汗)
…とにかく、この部分でフックが生地に固定されて安定するので、スッキリとシワのない吊り元が実現する…みたいなことです。

なんとも締まりのない終わり方をした吊り元編ですが、オーダーカーテンの裏舞台、次回で最終回です。
最終回は特殊加工編、人編をお送りします。

オーダーカーテンの裏舞台-耳編、裾編

はるばるやってきた愛知県のS社。
滝本がほとんどのカーテンの縫製をお願いしている会社に、勉強会と工場見学でお邪魔しました。

オーダーカーテンの裏舞台。受注管理、生地断ち編に引き続き、本日は耳編、裾編。S社の何がスゴイのか、をお送りしますね。

耳編
カーテンの耳。コトワザ的な意味ではなくて、ココのことです。

(null)

☆フリーハンドの職人技
耳は、生地の端を2回巻きながら縫います。それをサポートする「ラッパ」という金属の道具があります。始まりをきちんと差し込めば一定の幅でずっと生地を折ってくれるスグレモノ。
スグレモノですが、コレ、S社の耳縫製では使っていません。ラッパを使わない場合、1回1回定規で幅を図ってミシンで縫います。
難易度が高く、手間がかかる縫製。
それなのにラッパを使わないのは、どうして?I社長!?

(null)(これがウチのキモです!と、定規を振るI社長)

口を開けば喋りっぱなし、聞いてるこちらは笑いっぱなしのI社長いわく、ラッパを使うと耳の中に2ミリくらい生地の隙間ができてしまうんですって。
隙間に、光が透ける。
それはS社のクオリティとしては「なし」なのだそう。

☆耳の幅が、自由自在。
そういうわけでラッパを使わないS社。
1枚1枚手作業で耳の幅を決める、イコール、耳の幅を1枚ずつ自由に設定できる!
狭いものでは5ミリ幅から。5ミリ単位で幅を設定できます。

(null)(耳が5ミリ幅の生地。ほっそりしていて、繊細。丈を決める工程を撮りました)

おまけ、丈決め編
このような「リフター」を使ってカーテンの丈を決めます。

(null)

裾編
☆本縫いウエイトテープ
裾の折り返しがでないウエイトテープ。透け感のあるレースカーテンにオススメの縫製です、
一般的なウエイトテープは糸でグルグルグルとかがるので、裾の部分は1色。直線をひいたようになります。

こちら、本縫いウエイトテープ。

(null)

(null)
ウエイトを布で巻くので、多色使いの生地も仕上がりが綺麗!

職人さんの技と気配りの積み重ね。多彩な縫製仕様。ああ、頭が下がります。
いつもあれこれお願いする私のワガママは、こうやって叶えられていたんですね。
職人さんたち、いつもありがとうございます!

次回は、カーテンの裏舞台-吊り元編をお送りします!!