オーダーカーテンの裏舞台-特殊加工編、人編

滝本がほとんどのカーテンの縫製をお願いしている、愛知県のS社。 

勉強会と工場見学の様子をお伝えするブログも本日が最終回です。 

オーダーカーテンの裏舞台。受注管理、生地断ち編耳編、裾編、そして吊り元編を経まして、特殊加工編、人編をお送りします。

特殊加工編

☆超音波カッター
超音波の細くて早い振動から摩擦が生まれて、高温で生地をカットしたり繋いだりする技術。です。
ポリエステルを含む生地に向いています。色違いの生地を、あっっと言う間に接合。

あっ!

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と言う間でした。 

 ☆レーザーカッター
複雑なカタチの切り抜きができます。

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裏にごく薄い生地を貼ってます。

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こんな光が落ちる、素敵なロールスクリーンが作れます!

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☆デジタルプリンター 

どんな図柄でも布地にプリントできてしまうデジタルプリンター。
実はまたお試しの段階…だそうです。

☆スワロフスキー☆ 

超音波を発生するペンのような機械で…

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ボタンをポチっと。

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たったこれだけ。

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キラキラのスワロフスキーがしっかり生地につきます!

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オーダーカーテンの裏舞台、

最後に、人編。 

工場見学の最初に、I社長が話したこと。
「工場は、どこを写真に撮ってもかまいません。撮らないでというところは一つもありません。ただし、うちの取り引き先がわかるような生地やブランドのロゴだけは撮影しないでくださいね」
とのこと。 

取り引き先を明らかにしないのは当たり前として、どこでも撮影OKの工場見学、実は初めてです。 

☆真似できないのは何か 

見学を進めるうちに、I社長がなぜ写真を撮ってOKと言ったのかが分かってきました。
ミシンや特殊加工の機械。沢山の道具。それらを使って製品を作るのは、職人さんの手です。特に機械に頼らない工程が多いS社の仕事は、機械だけを真似ても同じ物を作ることはできません。 

2月末の繁忙期にお邪魔したにも関わらず、職人のみなさんはとても感じよく対応してくださいます。ですが決して手は休ませません。

社長のお母様が、「息子に殺されますわ〜(笑)」などと軽口をたたきながらカーテンの裾を縫うかと思えば、丈を測る年配の職人さんを指して、「あの職人は48年うちにいるんですよ〜、俺、2歳からですよ〜」などとI社長。 

研究熱心な職人さんのアイディアを元に、機械のメーカーさんが製品改良して新しい商品が生まれた、という話や、アルバイトから入ってそのまま社員になり、今では欠かせない立場の若い職人さん、など…。 

エピソードが、本当に沢山出てくる出てくる! 

この職人さんたちが日々真剣に仕事に取り組んでいるお陰で、私たちがお客様にカーテンを届けることができるんですよね。 

ああ、やっぱり、S社に仕事をお願いして良かった。いえ、お願いできて良かった、と心から感じたのでした。 

と、いい話でまとまったところで(笑)、
まだまだ紹介したいことは沢山ありますが、オーダーカーテンの裏舞台、最終回といたします。 

このやたら長〜いハナシを読んでくださった方、我慢強さに感謝いたします! 

そしてI社長はじめ、S社のみなさん、勉強会を企画してくださったC社のYさん、ありがとうございました。 

また次も、よろしくお願いしますね!!

(豪華お弁当、美味しかったです♪)

オーダーカーテンの裏舞台-吊り元編

愛知県のS社へ、勉強会と工場見学に行って参りました。
S社は、滝本がほとんどのカーテンの縫製をお願いしている会社です。

受注管理、生地断ち編、そして耳編、裾編に引き続き、オーダーカーテンの裏舞台-吊り元編をお送します。

吊り元、というのはカーテンの一番上の部分です。
写真は、ワンプリーツといって、ひとつのヒダで山をひとつ摘んだタイプのもの。

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他にも、3つ山、2つ山、ハコヒダ、ゴブレット、フラット、ハトメ…などたくさんのスタイルがあります。
どのスタイルにも共通しているのは、最初に「芯地」巻いて縫い込むということ。

これが芯地です。

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☆芯地の使い分け
カーテンの生地の厚さや性質に合わせて、S社では7種類の芯地を使い分けています。カーテンの生地が代わるごとにミシンに芯地をセットしなおします。(レジのレシート交換みたいな感じです)

口を開けば喋りっぱなし、聞いてるこちらは笑いっぱなしのI社長いわく、写真の右側の物はS社が特許を持つオリジナル芯地だそう。

(null)(こんなふうに山を作りやすい芯地なんですよー!と何度も折ってみせるI社長)
見えなくなるパーツにも技術と秘密が。美しいカーテンのため独自の研究を重ねるS社です。

芯地の縫製を終えたカーテンは、最後に山の縫製へ。

☆手作業で縫製される「山」
S社のカーテン、山がすごい!
1枚1枚寸法を計算して、手作業で山を作り、縫い止めます。
…それって当たり前なんじゃないの?って、思うかもしれませんね。実は…当たり前ではないのです。
山の縫製の当たり前は、今や機械縫製。タッチパネルで寸法などを入力すると、自動のアームが山を折ってミシンまでかけてくれます。早くて、正確。
どんな機械も作ってしまう日本の技術。すごいですが、機械には機械の限界が。
ミシンがけのように端から生地を引っ張って送るので、作られた山はほんの少し片側に偏ったり寝たりしてしまうことがあるのです。

手作業でひとつずつつまんだ山は、全て正面を向いています。畳んだ時も、均等できれい。職人さんの技術の賜物です。

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もうひとつ、S社の山のこだわりを。
山の縫製は、コカ・コーラ社のボトルを逆さにしたプロポーションを意識しているそう。

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こんな感じですか?I社長!?

さて、山を縫ったカーテン。フックを差し込んで完成です。

☆S社の特許、ポラリスフック
ポラリスって、北極星のことですね

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こちら側を山の裏側に差し込みます

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すべての星が北極星を中心に回るように、カーテンの生地がフックを中心にウンヌンカンヌン……とI社長。
へえ〜、I社長って話が面白いだけじゃなくて意外にロマンチストなのかしら〜?なんて思って聞いていましたら、…どうやら肝心な部分を聞き逃したようです。(汗)
…とにかく、この部分でフックが生地に固定されて安定するので、スッキリとシワのない吊り元が実現する…みたいなことです。

なんとも締まりのない終わり方をした吊り元編ですが、オーダーカーテンの裏舞台、次回で最終回です。
最終回は特殊加工編、人編をお送りします。

オーダーカーテンの裏舞台-耳編、裾編

はるばるやってきた愛知県のS社。
滝本がほとんどのカーテンの縫製をお願いしている会社に、勉強会と工場見学でお邪魔しました。

オーダーカーテンの裏舞台。受注管理、生地断ち編に引き続き、本日は耳編、裾編。S社の何がスゴイのか、をお送りしますね。

耳編
カーテンの耳。コトワザ的な意味ではなくて、ココのことです。

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☆フリーハンドの職人技
耳は、生地の端を2回巻きながら縫います。それをサポートする「ラッパ」という金属の道具があります。始まりをきちんと差し込めば一定の幅でずっと生地を折ってくれるスグレモノ。
スグレモノですが、コレ、S社の耳縫製では使っていません。ラッパを使わない場合、1回1回定規で幅を図ってミシンで縫います。
難易度が高く、手間がかかる縫製。
それなのにラッパを使わないのは、どうして?I社長!?

(null)(これがウチのキモです!と、定規を振るI社長)

口を開けば喋りっぱなし、聞いてるこちらは笑いっぱなしのI社長いわく、ラッパを使うと耳の中に2ミリくらい生地の隙間ができてしまうんですって。
隙間に、光が透ける。
それはS社のクオリティとしては「なし」なのだそう。

☆耳の幅が、自由自在。
そういうわけでラッパを使わないS社。
1枚1枚手作業で耳の幅を決める、イコール、耳の幅を1枚ずつ自由に設定できる!
狭いものでは5ミリ幅から。5ミリ単位で幅を設定できます。

(null)(耳が5ミリ幅の生地。ほっそりしていて、繊細。丈を決める工程を撮りました)

おまけ、丈決め編
このような「リフター」を使ってカーテンの丈を決めます。

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裾編
☆本縫いウエイトテープ
裾の折り返しがでないウエイトテープ。透け感のあるレースカーテンにオススメの縫製です、
一般的なウエイトテープは糸でグルグルグルとかがるので、裾の部分は1色。直線をひいたようになります。

こちら、本縫いウエイトテープ。

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ウエイトを布で巻くので、多色使いの生地も仕上がりが綺麗!

職人さんの技と気配りの積み重ね。多彩な縫製仕様。ああ、頭が下がります。
いつもあれこれお願いする私のワガママは、こうやって叶えられていたんですね。
職人さんたち、いつもありがとうございます!

次回は、カーテンの裏舞台-吊り元編をお送りします!!

オーダーカーテンの裏舞台-受注管理、生地断ち編

オーダーカーテンの裏舞台。
愛知県にあるS社にお邪魔しました。S社は、私が殆どのカーテンの縫製をお願いしている会社さん。今回は勉強会と工場見学で伺いました。

口を開くと喋りっぱなし、聞いてるこちらは笑いっぱなしのI社長いわく、「うちは西日本で一番加工賃が高くて納期がかかる会社です」とのこと。

(null)(社長、超音波カット機を説明する、の巻)

ええ〜?どうして一番高くて遅い会社にお願いしているの??って、お客様は思うかもしれませんね。

(自称)一番高い、という工場にお願いしてはいますが、決して高いお値段を付けてお客様に売っているわけではありませんのでご安心を!そこは私の頑張りどころ。
今日の見学が終わって、やっぱりS社にお願いしていて良かったんだ!って感じました。

S社のスゴイところ、その裏舞台をご紹介しますね。

受注管理
☆同じ部屋、同じ物件のカーテンは、同じ職人さんが縫うように管理されています。
品質を揃えた加工所といえど、人の手で作るもの。「手」が違うと仕上がりに差が生まれてしまうのです。

☆届いた生地の管理が丁寧です。
生地はお客様から預かった財産、という考えのS社。届いた生地が間違いなく加工されてカーテンになるよう、2重3重のチェックをします。
沢山積み重ねられた生地も長くそのままだと下の生地は潰れてしまうので、毎日場所を入れ替えて作業します。

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(毎日届く膨大な生地!)

生地断ち
☆柄の出方を見極めて、生地をカットします。
例えば、鳥さんの絵の場合。出来上がったカーテンの一番上に足だけあったら…なんだか悲しいですよね。そんなふうにならないように、気をつけてカットしています。生地に余裕がない場合にはできないこともあるみたいです。そこは、生地を発注するカーテンコーディネーターの責任、腕の見せどころ…ですね!

☆必ず織り目に沿って、生地をカットします。

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特に輸入の生地などは、織り目が真っすぐではないことが、多々あります。そこを織り目を意識せずにチョキチョキと切ってしまうと、実にまずいのです。
縫い上がってすぐは良くても1年、2年と経つうちに生地が捻れてきて、カーテンが型崩れしてしまいます。(って、I社長の受け売り)
一口に「オーダーカーテン」と言っても、このひと手間を掛けない工場も…中にはあるようで…。

安くはないお金を掛けて作るカーテンです。綺麗な仕上がりで、長く楽しみたいですよね。

次回は、オーダーカーテンの裏舞台-耳編、裾編をお送りします♪

カーテンの保管方法

昨日、以前にお納めしたYさまからお電話が。

転勤が決まり、数年間お住まいを留守にされるとのこと。
お気に入りのカーテンをきれいに保管しておく方法について、お問い合わせでした。

同じようなお悩みを持つ方は他にもいらっしゃるかな?と思いましたので、保管方法についてメモしておきますね。

本来カーテンは、カーテンレールに吊るした状態にしておくのがベストです。
事情があって畳んでしまっておかなければならない場合に、なるべく綺麗に保管できる方法です。

1)お洗濯、クリーニングで汚れを落としてください。

2)カーテンレールに掛けた状態で、カーテンの山にそって丁寧に畳みす。3箇所くらい、柔らかいリボンで結んでください。
固く結ぶと山が潰れてしまうので、リボンがギリギリ落ちないくらい緩めにしてくださいね。

3)大きめのきれいなダンボール箱の中で、山を立てるようにして畳んで入れてください。

こんな感じに。

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なるべく折る箇所を減らして、折りジワがつかないように気をつけてください。折り目に、ラップの芯などを挟むのもいいです。

ダメな例

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特に左上のあたり、蛇行して折れ目が大きくついてしまってます。
裾のラインもナナメになってしまっていてます。

4)天然素材のカーテンの場合は、防虫剤を入れてください。

5)箱の保管は立てずに水平に。

これしかない!という気に入った生地でカーテンをお作りになったYさま。お納めした日、とても喜んで下さったことを覚えています。
思い入れのあるカーテンに、きれいな状態で再会できますように。

お気をつけて行ってらっしゃいませ!