オーダーカーテンの裏舞台-吊り元編

愛知県のS社へ、勉強会と工場見学に行って参りました。
S社は、滝本がほとんどのカーテンの縫製をお願いしている会社です。

受注管理、生地断ち編、そして耳編、裾編に引き続き、オーダーカーテンの裏舞台-吊り元編をお送します。

吊り元、というのはカーテンの一番上の部分です。
写真は、ワンプリーツといって、ひとつのヒダで山をひとつ摘んだタイプのもの。

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他にも、3つ山、2つ山、ハコヒダ、ゴブレット、フラット、ハトメ…などたくさんのスタイルがあります。
どのスタイルにも共通しているのは、最初に「芯地」巻いて縫い込むということ。

これが芯地です。

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☆芯地の使い分け
カーテンの生地の厚さや性質に合わせて、S社では7種類の芯地を使い分けています。カーテンの生地が代わるごとにミシンに芯地をセットしなおします。(レジのレシート交換みたいな感じです)

口を開けば喋りっぱなし、聞いてるこちらは笑いっぱなしのI社長いわく、写真の右側の物はS社が特許を持つオリジナル芯地だそう。

(null)(こんなふうに山を作りやすい芯地なんですよー!と何度も折ってみせるI社長)
見えなくなるパーツにも技術と秘密が。美しいカーテンのため独自の研究を重ねるS社です。

芯地の縫製を終えたカーテンは、最後に山の縫製へ。

☆手作業で縫製される「山」
S社のカーテン、山がすごい!
1枚1枚寸法を計算して、手作業で山を作り、縫い止めます。
…それって当たり前なんじゃないの?って、思うかもしれませんね。実は…当たり前ではないのです。
山の縫製の当たり前は、今や機械縫製。タッチパネルで寸法などを入力すると、自動のアームが山を折ってミシンまでかけてくれます。早くて、正確。
どんな機械も作ってしまう日本の技術。すごいですが、機械には機械の限界が。
ミシンがけのように端から生地を引っ張って送るので、作られた山はほんの少し片側に偏ったり寝たりしてしまうことがあるのです。

手作業でひとつずつつまんだ山は、全て正面を向いています。畳んだ時も、均等できれい。職人さんの技術の賜物です。

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もうひとつ、S社の山のこだわりを。
山の縫製は、コカ・コーラ社のボトルを逆さにしたプロポーションを意識しているそう。

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こんな感じですか?I社長!?

さて、山を縫ったカーテン。フックを差し込んで完成です。

☆S社の特許、ポラリスフック
ポラリスって、北極星のことですね

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こちら側を山の裏側に差し込みます

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すべての星が北極星を中心に回るように、カーテンの生地がフックを中心にウンヌンカンヌン……とI社長。
へえ〜、I社長って話が面白いだけじゃなくて意外にロマンチストなのかしら〜?なんて思って聞いていましたら、…どうやら肝心な部分を聞き逃したようです。(汗)
…とにかく、この部分でフックが生地に固定されて安定するので、スッキリとシワのない吊り元が実現する…みたいなことです。

なんとも締まりのない終わり方をした吊り元編ですが、オーダーカーテンの裏舞台、次回で最終回です。
最終回は特殊加工編、人編をお送りします。