オーダーカーテンの裏舞台-受注管理、生地断ち編

オーダーカーテンの裏舞台。
愛知県にあるS社にお邪魔しました。S社は、私が殆どのカーテンの縫製をお願いしている会社さん。今回は勉強会と工場見学で伺いました。

口を開くと喋りっぱなし、聞いてるこちらは笑いっぱなしのI社長いわく、「うちは西日本で一番加工賃が高くて納期がかかる会社です」とのこと。

(null)(社長、超音波カット機を説明する、の巻)

ええ〜?どうして一番高くて遅い会社にお願いしているの??って、お客様は思うかもしれませんね。

(自称)一番高い、という工場にお願いしてはいますが、決して高いお値段を付けてお客様に売っているわけではありませんのでご安心を!そこは私の頑張りどころ。
今日の見学が終わって、やっぱりS社にお願いしていて良かったんだ!って感じました。

S社のスゴイところ、その裏舞台をご紹介しますね。

受注管理
☆同じ部屋、同じ物件のカーテンは、同じ職人さんが縫うように管理されています。
品質を揃えた加工所といえど、人の手で作るもの。「手」が違うと仕上がりに差が生まれてしまうのです。

☆届いた生地の管理が丁寧です。
生地はお客様から預かった財産、という考えのS社。届いた生地が間違いなく加工されてカーテンになるよう、2重3重のチェックをします。
沢山積み重ねられた生地も長くそのままだと下の生地は潰れてしまうので、毎日場所を入れ替えて作業します。

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(毎日届く膨大な生地!)

生地断ち
☆柄の出方を見極めて、生地をカットします。
例えば、鳥さんの絵の場合。出来上がったカーテンの一番上に足だけあったら…なんだか悲しいですよね。そんなふうにならないように、気をつけてカットしています。生地に余裕がない場合にはできないこともあるみたいです。そこは、生地を発注するカーテンコーディネーターの責任、腕の見せどころ…ですね!

☆必ず織り目に沿って、生地をカットします。

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特に輸入の生地などは、織り目が真っすぐではないことが、多々あります。そこを織り目を意識せずにチョキチョキと切ってしまうと、実にまずいのです。
縫い上がってすぐは良くても1年、2年と経つうちに生地が捻れてきて、カーテンが型崩れしてしまいます。(って、I社長の受け売り)
一口に「オーダーカーテン」と言っても、このひと手間を掛けない工場も…中にはあるようで…。

安くはないお金を掛けて作るカーテンです。綺麗な仕上がりで、長く楽しみたいですよね。

次回は、オーダーカーテンの裏舞台-耳編、裾編をお送りします♪

住宅に合うメカ物は?

連載しております、Cさまのお宅に納めたカーテン。本日が最終回です。
今日はメカ物。

こんな感じのやり取りが。
「滝本さんあのね、主人の部屋はブラインドがいいんです。」
「ブラインドですね。普通のアルミの他に、木製と、あとは布やフェイクレザーでくるんだ物がありますよ。」
「布がイイかな〜。あとね、色はオレンジ色で!」
「オレンジ、」
「エルメスの箱みたいな濃い感じがいいと思うんですが、どう思いますか?」
「素敵な色だと思います!サンプル探して送りますね。」(布のオレンジかあ〜!あったかなあ!?)

…というやり取りを経てお納めしたご主人の書斎のブラインドがこちらです。

(null)タチカワブラインド 「アフタービート」 マンダリンレッド
ラダーはミディアムブラウン、ボトムウッドはチョコレートブラウン

家具の色との相性も抜群ですね。
オレンジ色の布ブラインドはさすがになかったのですが、アルミでいい色がありました。縦に入るコードをラダーテープ仕様にして、布の素材感を追加。アフタービートのボトム(本体の一番下に来る重りの部分)は木製なので、そこもまた雰囲気を良くしているな〜と思います。

さて、玄関。
奥様が写真を見て、これがいいな〜とおっしゃっていたのは、トーソーのビジック。

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実際に納めたのはラクーシュ。

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(写真はトーソーのサイトからお借りしました。)

どちらも「調光できるロールスクリーン」なのですが、仕組みや生地感がちょっと違います。ビジックよりラクーシュの方が柔らかい印象…かな?

実際の様子はこちら。

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トーソー 「ラクーシュ」ムース/ベージュ

もともと、追加料金なしでトップの部分に木目のボックスが選べる仕様です。メカメカしい部分が隠れるところが、ナイス!

ブラインドやロールスクリーンなど、メカ物というと住宅にはシンプル過ぎて硬い印象になる心配があります。ですが、アルミだけでなくて布や木など、素材が組み合わされていることで柔らかさが出ていい雰囲気になりますね。お打ち合わせの過程でコストカットの対象になりがちな部材なのですが、全体の雰囲気を良くする大事な部材なのだなーと改めて感じました。

さてCさま、この度はありがとうございました。トラブルもあって何度もお邪魔させていただきましたが、実はお目にかかるのが毎回楽しみでした。美味しい晩御飯も、ご馳走様でした!
夏のカーテン選び、暖かくなった頃でしょうか。またショールームへご一緒しましょう。

保温も、カーテンの役割のひとつ

引き続き、Cさまのお宅のご紹介です。

こちらは奥様のお部屋。
白でまとめられたお部屋に、カラフルで楽しいパターン柄のコットン生地。

(null)マナトレーディング ヴァーヴ324

マナトレーディングさんのコレクションですが、調べてみたらどうやらスペインの生地のようです。どうりで素敵な色あい!

そしてこちらは寝室。遮光性のあるポリエステル生地。

(null)サンゲツEK248

規則正しいドレープが出せるのが、ポリエステルのいいところです。落ち着いた蔦の柄。温かみがあります。

実はどちらのカーテンもしっかり裏地をつけています。
韓国ご出身の奥様。とにかく日本の住宅は冬寒い…!とのこと。韓国の住宅といえば床暖房の先進国ですものね。
少しでも冬を暖かく快適に、熱が逃げるのを抑えてくれるようにということで、裏地をお付けしました。生地自体にもふわっとボリュームが出て、より素敵に見えます。

さて、雪降りの本日。私は今自宅で、窓の近くでブログを書いています。窓に付いているのは縦型ブラインドのみ。ガンガンストーブを焚いてますがやはり、寒い!
Cさまのお宅に夕方伺ってカーテンが閉まっている状態の時は、ほんわり優しい暖かさでした。やっぱりカーテンが、大事な役割を果たしていますね。

医者の不養生、紺屋の白袴、カーテンコーディネーターの家にはブラインド、でした。

特注、コットン生地のロールスクリーン

年末年始にお納めしたCさまのお宅。引き続きご紹介します。

キッチンからバルコニーに出られるドアには、ロールスクリーン。

IMG_4489.JPGsanderson
apples & pears222383

爽やかなブルーに可愛らしいリンゴとナシ、イチジクの模様。是非ともキッチンに使いたい!とのことで、柄がよく見えて汚れに強いロールスクリーンをオススメ致しました。

この生地は、カーテン用のコットン生地。ロールスクリーンにするには生地をパリッと固めてハリを持たせる加工が必要になります。こういう場合は、加工所にサンプルを送って加工試験してもらいます。
試験結果は「もしかしたら使っているうちに端がほつれるかもしれないけれど、概ね大丈夫」という内容。
Cさまとご相談の結果、ニッポンの物作り、その試験は相当に厳しい基準に違いない…!ということで製作に至ったのがこちらのロールスクリーンでした。

コンロわきのガラスパネルの色とも相性抜群です。

優しくて華やかなエマ・ブリッジウォーターのカーテン

昨年の最後にお納めしたCさまのお宅のカーテン。
追加・変更などもあり、年が変わって納品完了となりましたのでそのご紹介を。

都心まで10分ちょっとの立地とは思えないくらい広い広いリビング・ダイニングです。昨年発売されたエマ・ブリッジウォーターの生地。優しくて華やかな雰囲気が、朗らかな奥様のイメージにぴったり。

IMG_4485-0.JPG

柄は、うずら卵と羽根

IMG_4486.JPGSanderson Emma Bridgewater
EGG & FEATHER 223435
レゾナンス georgea65

こちらはザクロ

IMG_4487.JPGSanderson Emma Bridgewater
POMEGRANATE 223430
レゾナンス georgea65

1つの窓で違う柄の生地が使われていますが、色合いが合っていることと共通の裏地を濃いピンクにして、縁取のデザインをつけることでうまく繋がって見えます。

リビングなど大きな窓の場合、カーテンの丈は床ギリギリにすることが多いのですが、今回は床から20センチ前後上げています。これは奥様のアイディア。
打ち合わせのときに1部屋ずつ、もう少し上?もう少し下?あと1センチ!!…などと決めた丈。バッチリですね。
丈を上げたことでカーテンの重心が上がって、窓の上の大きな梁の存在感が薄まったな〜と感じます。

実はこのお部屋、年末にに一度納品が済んでいました。ビフォー写真はこちら。

IMG_4492.JPG右側のザクロ柄のカーテンをほどいて、うずら卵と羽根の柄に変更しました。
やっぱり新しいほうの組み合わせ、より素敵になりましたね!
大事なお客様がいらっしゃる前に間に合って良かったです。

他のお部屋については、また明日!