カーテンの仕上がりまでに降りかかる数々の災難。

さて、前回ご覧頂いたT様のお部屋の鳥柄の生地、
デザイナーズギルドというイギリスのブランドのものです。

デザイナーズギルドの生地は、
上質なシルクや、柔らかなリネンに、
鮮やかな色柄でプリントが施され、
それはもう、美しい世界なのです。

が、どんなに美しくても
品物は遠い海の向こうにあり
それを日本で仕立てるまでには
色々と思いもよらない問題が・・・。

当初、T様はこのブルーの鳥柄をお選びでした。

初回の打合せに、美しいブルーのセーターで
お越しになったT様と、生地の雰囲気もぴったり。
組合せの生地や、レースも決まり
T様も大変喜ばれ、足取りも軽くお帰りになりました。

私も張り切って、
さーて、生地の手配を!!と思い
日本の代理店さんにご連絡すると、

「岡本さん、残1Mで廃番だそうなんです・・・。」

(え?1M???は?廃番???)

愕然。

ここでまず、国内メーカーと輸入生地の差が。

国内メーカーは、基本的に、
見本帳という、カーテンの小さな見本生地を貼りつけた、
大きな辞典のようなブックが2年に1度作られます。

こういうものです↓

人気のある生地は、そのまま継続されますが、
どちらにしろ、以前の見本帳は廃棄となり、
継続生地も番号を付け直して、新たな見本帳に掲載されるのです。

そして、新しいものが出る半年前からは、
メーカーの営業さんが、やんややんやと廃番のお知らせや
注意を促してくれるのです。

ショールームにサンプルをいただきに行くと、
そのサンプルに“廃番予定品”というシールが貼ってあって、
親切丁寧に、(在庫をご確認下さい)なんて
メモまで付いていたりもします。

なんて細やかな対応!

しかし、輸入生地には
2年に1度の総入れ替えなどありません。

輸入生地は、このような形式のブックが多いのですが↓

一度発表されると、ずーーーーーっと存在しています。

中には、あまり人気が無い、もしくは
うまく製作出来ない(糸や色の問題等)で
ひっそりと消えていく生地もありますが、
反対に人気の生地など、いったい何年前からあるんだろう?
と思うものもあるのです。

ギルドももちろんそう。

中には、廃番になってしまったものもありますが、
基本的に、HPに掲載されているものは
継続しています、というお話しでした。

が、、、、、ない。

万が一があると困るので、
打合せ中にHPを確認したのに、
バリバリHPに載っているのに、、、、、ない。

しかも、在庫切れではなく、廃番。

待てばいつか仕上がるのではなく、
もう、永遠に出てこない。

日本の代理店の担当者の方に、
なんとか、イギリスのどこかに残っているのを
見つけてくれませんか???
倉庫の隅に残ってませんかね~???
とすがりつき、
担当者の方も、色々問い合わせて下さいましたが、
全くないと・・・。

今回はT様が、(輸入品だから色々ありますね)と
大きなお心で、再検討して下さり、
結果、そちらのほうがお部屋に合ったとのことで
(私もそう思いました!心から。)
救われましたが、

私自身、これが欲しい!! と思うと我慢ならない性格の為
お客様がどんなにがっかりされるだろうと思うと、
泣きたくもなります。

そしてまた、こんな状況にも
文句ひとつ仰らなかったT様のお仕事、
この他はご迷惑をおかけせず完璧に仕上げよう!!と
心に誓ったのに・・・

・鳥の生地に合わせる為に選んだ、タフタのブルーの生地まで廃番品。
・国産の刺繍のレース生地が在庫切れ。(これは輸入生地の到着を待つまでに生地入荷!)
・残布でのクッションカバー製作を予定していましたが、残布を処分されてしまう。

と、次から次へと災難が降りかかりました。

その度に、T様にお詫びはもちろんのこと
新しいご提案をし、ご相談させて頂きました。

そんな状況にもかかわらず、

(おかげさまで素敵なカーテンに出会えて感謝しております、お願いしてよかったです。)

と、ご連絡下さったT様。

T様に心から感謝しつつ、進めたお仕事でした。

さて、このような問題は、T様の件だけでも、
もちろん、ギルドだけでもないのです。

日本の代理店の方々も、苦労されているであろう
輸入生地の特質、次回もちょっとご紹介させて頂きます。

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